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南相馬市での活動報告

南相馬市小中学校PTA連絡協議会   会長 NPO法人「南相馬こどものつばさ」 理事長
西 道典

 南相馬市の東日本大震災により被災状況に原発関係による学校等の現況をまずお知らせいたします。
 まず南相馬市は、原子力発電所事故により12日から15日にかけて、原発より20キロ圏内の避難指示・20から30キロ圏内の屋内退避 指示が出され、30キロ圏外の規制外区域と共に3つの区域分けられました。23年の4月22日よりは避難指示が警戒区域指定となり、屋内退避指示が緊急時避難準備区域に改変されました。それと同時に計画的避難区域と定避難勧奨地点が新たに設定されました。市内が5つの区域に分断されたのです。
 学校はというと、南相馬市にあった小・中学校22校の子供たちが、30キロ圏外(鹿島区)で勉強することとなりました。鹿島小学校には5校の子供たち、八沢小学校には6校の子供たち、上真野小学校には4校の子どもたち、前川原体育館・農村環境改善センターには各1校ずつの子供たちが、長袖長ズボン・帽子・マスク着用で、本当にひしめき合って学んでおりました。夏の暑い時期は、武道館で勉強していた子供たち39度を超える暑さの中、扇風機ひとつで頑張っておりました 。
 また、大津波による死亡・行方不明者も出ております。
   小学生  死亡9名・行方不明2名  計11名
   中学生  死亡6名・行方不明2名  計 8名
   計     15名     4名  計19名
 遺児・孤児については
  未就学児  遺児17名・孤児1名   計18名
   小学生  遺児22名・孤児1名   計18名
   中学生  遺児 9名・孤児1名   計18名
   高校生  遺児11名・孤児1名   計18名
   計      59名   4名   計63名
 この様に、子供たちが劣悪なる環境で生活する様を見、水遊び、土いじり、芝生の上で寝転ぶ、海や山で自由に遊ぶ、普通のことを普通にさせてあげたい、このようなことから「南相馬こどものつばさプロジェクト」が始まったのです。平成23年度は、約1,000人の子供たちが、県外保養に羽ばたいてまいりました。
平成24年度になると、緊急時避難準備区域にある原町区の小中学校12校全てが自校で学習できる状況になりましたが、小高区の小中学校5校と津波の被害にあった鹿島区の1校が、現在も鹿島小学校と鹿島中学校グラウンドにある仮設校舎の中で勉学にいそしんでます。
 学校の除染も進み、校舎内外を見ると通常の放射線量の約倍程度になり、ほとんど問題のないレベルに達したと思われます。しかしながら生活環境区域を見ると全くと言うほど除染をされておりません。まだまだ子供達が普通に家の外で遊ぶ環境ではないのです。震災前は見守り隊と称し、ご年配の方々が登校下校の折り通学路に立っておりました。「子供たちの元気な挨拶が嬉しいねぇ」けれども今はほとんどの子供達、家族の人たちが車で送り迎え状態「子供達が歩いてなくて寂しいねぇ」子供たちが歩いて通学、当たり前なことが当たり前じゃなくなってる現状なんです。
 本来だと南相馬市の小・中学校の児童生徒数は6,000人強です。23年度学校再開の折は約2,250名でした。24年度4月では約3,100名、帰還率50%強です。まだまだ復旧半ばです、復興などもっと先の話です。その間子供達を守っていかなければなりません。
南相馬市での活動報告1
 ここで平成24年「南相馬こどものつばさ」等の活動を報告させていただきま。
 夏の活動は5月より、インターネット等を通じ、林間臨海学校企画の提供協力をお願いする呼びかけを開始。5月末までに24団体30プロジェクトが提供を申し出てくださいました(市教育委員会平癒も含む)。6月1日、募集要項を市内全小中学校を通じて児童生徒に配布、同時に参加者募集を開始致しました。11日には鹿島区さくらホールに、全国の主催団体の方にお集まりいただき、全体説明会を開催、およそ200名の参加がありました。29日にはさらに8つのプログラムを加えて2次募集を開始。6日に参加募集を締め切りました。9日からは各プログラムの主催者に来市いただき、参加者に対する説明会を行っていただきました。7月21日から8月24日まで、36プログラムが全国各地で実施され、約800名の子供、保護者が参加しました。
参加者決定については、各学校を通し、応募用紙を回収、募集人数を超えた企画については実行委員会が厳正に抽選を行い、結果を文書並びに電話でご連絡致しました。
プログラム実施時には、可能な限り出発式、解散式を行わせていただきました。
感想と課題を申しあげますと、昨年の震災を受けて、急ごしらえで始まった活動が、2年目を迎え、初年度同様の支援が集まるものか不安だったため、数多くの団体様にお声がけさせていただきましたが、ふたをあけると昨年度より多くのお申し出をいただくことができ、大変感謝しております。一方で、事務局の処理能力を超えた数となってしまったため、要項記載事項の不備や説明会での時間配分などの無理が生じ、募集内容の詳細、魅力について児童生徒に十分に伝えきれなかったことがございました。また、日々の皆様からの募集状況などのお問合せにも十分にお答えできず、主催者の皆様、参加者の皆様には大変ご迷惑をおかけしました。
 今年度は企画数が減ることを予想していたため、参加費有料の企画も運営資金についても、NPO法人化が追いつかなかったため、ネット募金等整備できず、また助成金申請等も追いつかなかったため、市外に集合する企画などの送迎などの費用が開催日までにめどが立たず、参加者負担となってしまった部分もありました。
 夏以外のプログラムでは、11月に栃木JCの協力により28名(栃木の子供たちとの交流あり)、今年2月には富山県南砺市、「雪あかり祭り」「全国小学生雪合戦大会」に合計48名、春休みには、ピースボートによりオーストラリアへ12 名、アースマンシップにより長崎へ12名と展開中です。
南相馬市での活動報告2
 平成25年度に向けて、福島第一原発事故の収束は短期間でつくものではなく、南相馬市の子どもたち生活への影響もまだまだ残ります。除染活動等も当初の予定よりもかなり遅れている中で、保養目的での市外宿泊を伴う活動は継続的に必要です。また、保養だけではなく、子どもたちが未来に希望をもって羽ばたいて行くために、視野を広げるための外部とのつながり、様々な大人のロールモデルとの出会い、日常でのストレスの解放など支援して行かねばならない要素は多々あります。
 保養プログラム以外として、5月ファザーリングジャパンによる仮設校舎への本棚製作寄贈(地元PTAも集合共に制作をする)協力、10月8日は子供のつばさ主催による親子料理教室・富良野美瑛地区地域資源開発センター共催により富良野の新鮮野菜を地域の方々に無料配布しました。10月27日は男山八幡神社で開かれた「復興秋祭り」に、芸団協の協力により、特設ステージにおいてギター漫談・マジックショー等が行われ、仮設住宅の方や地域の方々の笑顔を見ることができました。11月13日は南相馬市小・中学校PTA連絡協議会と共催で、鎌田實先生と坪倉正治先生による「子どもの生きる力を育てよう!」講演会を開催いたしました(300人集まって頂きました)。12月16日は南砺市からの災害支援実行委員会の受け入れをいたしました(体育館で餅つきや芸能発表がありました)。平成25年2月28日高校生対象の講演会「命のことを話そうよ」が主催で行われました。また東京においても、坪倉正治先生による講演会がベテランママの会と共催で開かれました。参加者の方々には南相馬市における放射能の現状しっかりと把握していただきました。 最後に、先日山崎直子宇宙飛行士講演会の時に、先生と個別にお話することができました。つい質問を、・・宇宙ステーションではどのぐらいの放射線量を受けるんですか?答えは一日1ミリシーベルトだそうです。長期滞在だと4カ月間約120ミリシーベルトの放射線を受けるそうです。先生は「宇宙飛行士でそれが原因でガンになったと言う人は聞いた事がない、それよりもpm2.5や残留農薬の方が心配ですよね」と言っておられました。「精神的な問題・ストレス等によってDNAが傷つけられるんですよね、(タバコもね)それを直すための治癒力を向上させる方が大切ですよね」とも言っておられました。
南相馬市での活動報告3
今私が思ってること、目標を持って前に進む事(笑い)が免疫力を高める、後ろ向きに愚痴や文句ばかり言ってると免疫力が落ち病気に負けてしまう、アドレナリンをいっぱい出すことが免疫力を高めることである。子供たちに本物見せ、感動させ、目標を持たせる事。家族が一緒に暮らし笑いの絶えない家庭を作ること。一時的にも普通の生活を提供してあげること。そして元気が一番、子供たちから元気をもらい、子供たちに元気の場を作ってあげること。これが大人の仕事、そして未来の故郷の為に、見えない未来に皆一丸となって一歩一歩進んで行かなければならないと思うのです。

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