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レポート
石巻市雄勝中学校 卒業式(GFSC希望の和太鼓プロジェクト)

イベントレポート
NPO法人日韓文化交流会 東日本復興支援チームリーダー 宇佐崎敦子

  陸奥の温かな春の陽射しの3月7日(土)、石巻市雄勝中学校の第33回卒業式が挙行された。今年は、10名の卒業生が学び舎を晴れやかな笑顔で巣立だった。



 2011.3.11の東日本大震災で未曾有の被害を受けた雄勝中学校を震災直後より当法人はGFSC希望の和太鼓プロジェクトとして支援の中、2012年8月19日~23日の“希望 夢韓国の旅プレゼント“に1年生で参加した子供達だった。
そして、2014年9月28日には当法人が支援する大船渡 ”夢さんま祭り“に日韓さんに恩返しがしたい、支援を受けた自分達が大船渡の皆さんを元気づける事ができたらと片道3時間の遠征で駆けつけてくれた子供達だった。

 地元に伝承された"和太鼓"を基に音楽という文化芸術による復興推進の中、韓国での旅では青年交流も経験し大きく成長した子供達の姿が輝いた。

 厳かな雰囲気の中、式は卒業生たちの凛とした姿の入場で始まった。
 国歌斉唱に続き校長先生より卒業証書が授与された。


 校長先生からの式辞では、「貴方達の3年間はまさに震災復興の中だった。
沢山の方々から支えてもらったことに感謝の気持ちを忘れないでほしい」の言葉に続き2つの提言をされた。1つは「雄勝中の教訓"たくましく生きよ"のごとく自分の夢をもって自分の道を歩んで欲しい」。2つ目は「“根っこは雄勝にある”。雄勝の自然に育まれたことを忘れずいつでも帰ってきなさい。故郷雄勝は此処にある」との言葉を贈られた。
 在校生の送辞では、温かく見守りリードしてくれた先輩への感謝の言葉と共に、なによりも楽しかったのは全校生で取組んだ太鼓と向かう時間だったと語られた。
 卒業生からの答辞では、太鼓と出会えたこと、韓国に行けたことの喜びが語られた。
 震災で母を亡くしたが周りの励ましを受け頑張れた事、そして雄勝中学生であったからこそ沢山の方々と出会い・関わりをもつことができたと何より感謝していると語られた。
 そしてこれからは、自分たちの元気な姿により誰かを元気にできるよう励みたいと語った。


 式場で卒業生を見守る御父兄は微笑み、時折涙される。
 被災後、点在する仮設住宅の困難な状況下、日々子供達を支え続けてこられたご家族だった。

 そして雄勝中学生として最後となる校歌斉唱と共に閉式をむかえた。
 会場を後にする卒業生の姿には震災後の"新生雄勝"中学のバトンを後輩に繋ぎきった自信が感じられた。



 午後には生徒達の手で準備された"卒業を祝う会"が開催された。


 その中で太鼓指導の先生より卒業生の皆さんに向けて、「君たちには先輩達と共にする太鼓演奏のため入学当初より過大な課題を課した部分もあったが見事に熟した皆だった。
 韓国の仁寺洞広場でも公演し、昨年は大船渡(夢さんま祭り)で演奏の場ももてた。
 日韓さんの支援に感謝の気持ちを忘れないようにしよう」との言葉が投げかけられた。


 当法人は大船渡 夢さんま祭りで卒業生の皆さんと共に被災地支援に参加した縁のあるGFSC広報大使MR.MRのサイン入りCDをお祝いのプレゼントとして卒業生一人一人に贈った。
 サプライズに驚きの表情と共にパッと笑顔が広がった。


 祝う会は進み、雄勝中学生として最後の太鼓演奏となった。
 当法人が贈呈したオリジナル曲「~ねがい~たくましく生きよ」と地元伝承の「伊達の黒船太鼓」 の演奏だ。
 "たくましく生きよ"と背中に書かれたTシャツ姿で、タイヤ輪太鼓の前に立つ彼らの姿に1年生で韓国 仁寺洞の演奏に立った姿が重なる。
 しかし奏でる音は、どこまでも力強く2年の成長の大きさを実感するものだった。
 聞き終えた父兄から「これが最後とは思いたくない・・」との呟きが聞こえた。
 GFSC希望の和太鼓プロジェクト支援は子供達の心の拠り所だけでなく家族の、地域の拠り所となっていた。
 式後に太鼓指導の先生から当法人に「この卒業生は日韓さんの支援が全てと言っても過言でない子供たちでした」との言葉をいただいた。

震災から4年。
辛い経験を経て、人の絆と支えに感謝し、自らが人の支えになりたいと語る卒業生のたくましく成長した姿が晴れやかに輝いていた。

2015.3.07


 

イベント概要
イベント名 GFSC希望の和太鼓プロジェクト
開催期間 2015年03月07日(土)
エリア 東北エリア(宮城県)
開催地 宮城県
会場 石巻市雄勝中学校