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レポート
復興庁「心の復興」事業 石巻11アートイベント2015 “被災野に大きな花アート”

イベントレポート
事務局ブログ

 東日本大震災から4年5ヶ月となる8月11日(火)、子どもたちが花を描く「石巻11アートイベント2015 ”被災野に大きな花アート”」」が石巻の旧門脇小体育館と中瀬公園で開催されました。


 総勢約300人の参加者は、東日本大震災の犠牲者の鎮魂と早期復興を祈願して、未来に向かって、大きなキャンバスに思い思いの大きな花の絵を描きました。


 イベントはコンソーシアムが紹介した復興庁の『心の復興』事業に採択され、日本製紙(株)の共催を得て、花とアートで再生復興プロジェクト委員会が主催し、産学官民が連携して実施しました。子どもたちは、心と体と技を使って、自由に伸びやかに花を咲かせました。


【第1部】


【中瀬会場】中瀬公園(石ノ森萬画館となり)
アートリーダー:NPO法人コドモ・ワカモノまちing 代表 星野 諭氏   


 中瀬公園では、アートリーダーの星野さんの指導の下、子どもたちが衣装の汚れも気にしないで、2m×25mの模造紙に描かれた幹に色鮮やかなアクリル絵の具を使って、色取り取りの大きな花アートを描きました。


 小学生の女の子は「大きな紙に花を描けて楽しかった。いろいろな色がたくさんあって元気になれた」と笑顔で話してくれました。また、未就学児の女の子は、体も服も絵具だらけになって、手足を使って、駆け回りながらアートを描いていました。真剣に休むことなく動き回り、人気者になっていました。    


                                                        花アートを描く子どもたち                                体を使って描く女の子


【門脇会場】旧門脇小学校体育館 
アートリーダー NPO法人にじいろクレヨン 代表 柴田 滋紀氏
 
 旧門脇小学校では、子どもたちは、アートリーダーの柴田さんや、武蔵野大学の学生らの指導を受け、日本製紙(株)から提供された20mと10m四方の2枚の模造紙に赤、青、黄色、ピンクなどの鮮やかなアクリル絵の具を使用して大きな花アートに挑戦しました。


 旧門脇小学校を卒業した家族も被災後初めて学校に訪れて、花アート制作を思い出とともに描いていました。地域住民の参加イベントに首都圏から40人もの学生がボランティアとして協力している姿は、被災地に寄り添った「心の復興」そのものでした。


 アートリーダーの柴田さんは「何より、元門脇に住んでおられた方や今も門脇に住んでおられる方に来ていただけたこと、楽しんでいただけたことが、門脇生まれの私にとっては本当にうれしかったです。我々石巻市民は、心の復興とアートのある街を目指して、これからも取り組んでまいります。」と頼もしい発言でした。


                                                                                                                                                                   花のアート制作             子どもたちに指導する学生


【第2部】


復興祈願花所望 旧門脇小学校体育館ステージ


 会場は、子どもたちを主体とした大きな花アートが完成し、旧門脇小学校に奉納の絵として集結しました。第2部は、ステージにて石巻市の『歴史・現在・未来』をテーマとし、歴史は「牡鹿法印神楽」、現在は取れたての花材を使った「生花」、未来は子どもたちが描いた「大きな花のアート」(ステージと会場に奉納)が上手くコラボレートしました。


【牡鹿法印神楽】保護団体名:牡鹿法印神楽古実会


 


        牡鹿法印神楽              ヤマトタケルノミコトが剣を取り戻すシーン


 この芸能は、宮城県石巻市牧山に伝えられるもので、近隣諸社の祭(主に夏祭)に演じられる。もと法印と呼ばれた山伏の演じた獅子神楽の一種で、その祈祷の一方式として悪霊退散、五穀豊穣などを祈って舞われたものです。
 芸能次第としてははじめに法印一同が舞台にならび、太鼓と笛とによる打鳴らしの奏楽があり、神おろしの神歌がうたわれます。次に開経偈が唱えられ、つづいて一同で般若心経を読誦します。
 このあと舞台前の湯釜で湯立をし、巫女の舞台清めのあと「初矢」「両天」「岩戸開」の三番が舞われ、ついで「所望分」「五矢」「日本武」など二十四曲が舞い演じられ、芸態には特別な足の踏み方があるなど、その演技・演出法は地方的特色の顕著なものです。


【草石流生け花】


 日本古来の風習を踏まえ、野山にあるが如く自然を写す「石草流」の花は、自由な発想でダイナミックな空間をかもし出す独創性と、現代の暮らしにも十分調和する上品な美しさを併せ持っています。日本人独特の季節を表現する行事の花々の中で「万葉の花暦」を主題としてお花をいけている。


                               神楽に合せて生け花              奥平 清鳳氏


【奥平 清鳳 草石流生け花三代目家元】


 「石草流」師範、いけばなインターナショナル会員、ホテルオークラ館内の生け込みを担当している。「清鳳花の会」主催し、伝統行事の形や歴史的背景を探り、儀礼や暮らしにおける花との関係性の変遷を解説、雅な生活空間を演出するカリキュラムを実施している。華道の”原点の花”といわれる「立花(たてはな)、立華(りっか)」を修業。供花(くげ)(仏花)─立花─立華─抛入─格花─茶花─盛花と、古典から現代につながる「いけ花」の系譜を探る試みを実践。室町時代にその起源をもつ「花所望」の再現に取り組んでいる。


                神楽・生け花・花アートのコラボ           笹野副市長の献花


 市民、企業、芸術家、行政、首都圏事業者が連携して、鎮魂と復興を掲げたイベントは事故、怪我も無く無事に終了しました。完成した花アートはイオンモール石巻、生け花は石巻グランドホテル1階に展示されました。


【感想】


 復興の都市計画である南浜復興祈念公園の活用について、地域住民と勉強会を開催し、「アートガーデンビレッジ構想」を行政へ提案し、これを契機に産学官民の実行委員会を発足させ「石巻11アートイベント2015 ”被災野に大きな花アート”」を成功させた佐久間実行委員長の情熱と実行委員のサポートが素晴らしかった。
 被災地自ら復興のイベントを運営し、未来を担う子どもたちが、楽しみ、元気に花を描いている笑顔やしぐさは愛くるしかった。また、武蔵野大学の学生40人がボランティア参加し、実行委員会の皆さんと協力して汗を流している姿は誇らしくかっこよかった。


 取材にきていた女性カメラマンにインタビュー。震災当時にボランティア活動にきているうちに住み着いたという。東京には無い住みやすさを感じたそうです。現在石巻には、20代から30代の若者が各地から50人近くが移住し、商売(居酒屋・お店)等をしているそうです。若者が集まる魅力とは何か?調べる価値はありそうです。


 第2部イベント会場にて石巻副市長と堀内復興政策部長とお会いし、お二人から協力・支援(花アートイベント・文化センター)について大変喜んで頂きました。今後もよろしくお願いしたいとコンソーシアムの評価が上がったようです。
 昨年10月21日、佐久間実行委員長と東京画廊の山本代表から相談を受け、復興庁の「心の復興事業」の紹介や申請書作成支援、事業協力をした甲斐がありました。なんとか被災地のニーズにマッチした支援に繋がったと思っています。

イベント概要
イベント名 復興庁「心の復興」事業 石巻11アートイベント2015 “被災野に大きな花アート”
開催期間 2015年08月11日(火)
9:30~18:00
エリア 東北エリア(宮城県)
開催地 宮城県
会場 【アート】門脇会場:旧門脇小学校/中瀬会場:中瀬公園 【祈念】門脇会場:旧門脇小学校
料金 無料
問合せ先 実行委員会事務局ショートメール 090-5838-5905 寶|080-1655-5456 本間
主催 花とアートで再生復興プロジェクト委員会
共催 日本製紙(株)石巻工場
後援 国土交通省 東北地方整備局|石巻市|石巻商工会議所|(株)街づくりまんぼう|石巻市文化協会
協賛 ホルベイン工業(株)|大塚刷毛製造(株)|SUNTORY|イオン石巻|(株)石巻精機製作所|(株)石巻花き園芸|セオリーホーム(株)|桜井建設工業株|桃生町産ガーベラ西條
協力 子どものための石巻市民会議|石草流生け花|石巻グランドホテル|文化芸術による復興推進コンソーシアム|チームHiroshi Mashima|橋本照嵩|石巻市立病院|医療法人清芳会中浦内科医院