レポート
「それぞれの役割」 文化遺産とまち、ひと、復興を傍聴して
南部藩壽松院年行司支配太神楽
12月20日(金)文化庁、一般社団法人気仙沼風待ち復興検討会が主催する「文化遺産とまち、ひと、復興」を文部科学省東館3階講堂にて傍聴しました。
津波による甚大な被害を受けた後、様々な支援を受けて復旧しつつある「南部藩壽松院年行司支配太神楽」と、「女川獅子振り」の舞で始まりました。「南部藩壽松院年行司支配太神楽」は、中学生も含めたダイナミックで力強い舞を披露してくれました。「女川獅子振り」は、1年の五穀豊穣、大漁祈願を行う正月の舞とのことで、こたつのセットがあり、会場を巻き込んだ楽しい演出でした。
その後、文化庁長官とワールド・モニュメント財団副理事長の基調講演がありました。また、現地からの歴史的建造物の復旧と祭礼による復旧報告の映像があり、最後に文化遺産の多様な分野に関わる報告者からのディスカッション「ふるさとの文化遺産の復旧のためにできること」が行われました。
女川獅子振り
このイベントを傍聴し印象的だったヒントは2つありました。1つは、基調講演の中で長官が話された「復興は、国だけ、地域だけ、若者だけではなくそれぞれが出来ることを組み合わせることが復興につながる」というヒントでした。このイベントの各企画からも、様々な立場の担い手がそれぞれの専門分野を行うことによって、文化遺産の復興を進めているということが伺えました。
もう1つのヒントは、ディスカッションの中で言われていた「震災を風化させないために、文化芸術を通じての復興の状況を発信し、将来にわたって繋げていくことが必要であり、それを発信していくことが大切である」といった内容でした。
ディスカッション「ふるさとの文化遺産の復旧のためにできること」
文化芸術による復興推進コンソーシアムの事務局として、文化芸術分野での復興の取組の中から、そこだけでは見つからない、つながらない部分を見つけて、繋げていくことをしなくてはならないと感じました。そのためには、地域の状況をよく見聞きし、どういうことが必要であり、それをどのように発信し、繋いでいくかを考え、実行することが私達の役割なのかなと思いました。物事が進んでいく過程においては、様々な困難に遭遇し、なかなか上手くつながらない場合や、時には矢面に立ってしまう場合もあると思います。それも1つの役割と覚悟し、それでも勇ましい神楽や獅子振りの舞のように、立ち向かっていくことが大切なのだと改めて思ったシンポジウムでした。
イベント名 | 文化遺産とまち、ひと、復興 |
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開催期間 | 2013年12月20日(金) |
開催地 | 東京都 |
会場 | 文部科学省東館3階講堂 |
主催 |
文化庁 一般社団法人気仙沼風待ち復興検討会 |