ご覧のページは、これまでのコンソーシアムのホームページを活用し、コンソーシアムの活動記録や資料等をアーカイブ化したものになります。

コンソーシアム会議雑感(岩手県、宮城県)

公益社団法人日本芸能実演家団体協議会 文化芸術制作推進業務部 制作推進業務課
大井 優子

11月下旬に文化芸術による復興推進コンソーシアム全国推進委員として、岩手県と宮城県で開催された現地の推進委員の方々の会議を傍聴させていただきました。


復興推進委員には、行政、民間、それぞれの地域、それぞれの立場で文化芸術に携わっている方々、特に震災後、地域での文化芸術のあり方について腐心されている方々の中から岩手県6名、宮城県7名、福島県6名の方々にお願いしています。


岩手県の会議で特に印象に残ったのは、やはり釜石や大槌といった沿岸地域での津波被害の影響が大きく、生活基盤を失い、一気に過疎化や仕事がないという状況になっているという悲痛な思いでした。しかし、井上ひさしさんの言葉をひいて「日々の暮らしをまとめたものが文化」という話もあり、人がいる以上、何らかの形で文化活動をされる方もいる。郷土芸能を軸に仲間と支えあったり、絵を描く、歌を歌う、そういったことで心が回復することもあるといったことも事実であるという発言もありました。生活再建が一番ではありますが、集落が永続性のあるものになること、コミュニティの再建をどう進めることができるのかというのも同時に重要な課題として提示され、住民の方々が自ら参加できる文化活動が求められているといった声には、みなさん大きくうなずかれていたように感じました。


また、単に建物やインフラが復旧すれば復興なのではなく、アイデアがほしい、基礎自治体の文化の形がアイデンティティとして出せることが必要という意見もありました。「愛と知性」という言葉でも表現されましたが、愛―支援だけでなく、被災した地域でどう生きていくか、前に進むための推進力が必要とされていて、それは現地の方々の思いを外部の人、専門家が入ることで新しい方向に展開していく可能性への期待も含まれていました。


宮城県の会議では、支援と受援、アートの役割についても話題となりました。「支援を受ける側が返せるようになるのが支援」という考え方も示され、また、受け入れる側がどう対処できるかで、実際の支援の効果が変わっていくという実例も語られました。受け皿となる人、コーディネーターの不足が問題視されることも多々ありますが、それは、機会を増やしていくことで関わった人の間で意識が芽生えていくこともあるかもしれません。ただ、毎回種をまく、水を撒くというところから始める必要があるとなると、とても大変です。被災地でそういった役割を誰が担えるかというと、例えば現地の文化施設の職員が、日頃の業務として地域の文化的なニーズを汲み取って事業を行っていれば、そこがネットワークの起点となりえる、という議論もあります。指定管理者制度により、管理運営業務のアウトソーシング化が進む一方で、本年6月に「劇場、音楽堂等の活性化に関する法律」が成立し、市民のための施設のあり方、求められる人材が問われています。


また、コンソーシアムに期待することとして多く上がったのが、各地で様々に行われている活動の広報をしてほしいということでした。地域に求められる活動を持続的に行っていくには、情報を交換することでさらによい取り組みにつながっていったり、あるいは第三者から紹介されることで発展していく可能性も広がります。そういったことを後押しするには、やはり人材が欠かせないわけですが、私個人としてもこのコンソーシアムのフォーラムや、芸団協の震災復興プロジェクトのブログ「文化でつなぐ」、twitterを通して少しでも紹介していきたいと思います。


 


文化でつなぐ: http://bunka-tsunagu.blogspot.jp/
Twitter:bunkadetsunagu

コラムをまとめて読む場合は、下記からご覧ください。

関連コラム

ページトップへ