ご覧のページは、これまでのコンソーシアムのホームページを活用し、コンソーシアムの活動記録や資料等をアーカイブ化したものになります。

レポート
「奈奈子祭」に行ってきました。

イベントレポート
事務局ブログ

ツアー「【郷土芸能の絆で元気に!】大槌のこころにふれる旅」


 今回は、当コンソーシアムで協力名義を許諾している「奈奈子祭」をレポートするため、標記のツアーを利用しました。独自のルートで大槌に入ることも考えたのですが、釜石~大槌間のJRが震災で不通となっており、公共交通機関を利用して釜石⇔大槌の移動を考えるより、ツアーで参加した方が、時間的な効率が良いと考えたからです。
 ところが、このツアーは時間的な効率だけではなく、様々な地域やフィールドから参加した方々と一緒にまわり、地元の方と直接交流する事によって、地域の課題や、その課題に対しツアーの参加者がどのように考えるのか等が話し合う機会もあり、「見方・考え方」が広がる有意義な時間となりました。


 先ずは、ツアーの内容を順を追って報告します。
 往路新幹線は、ツアーと祭のコーディネートをされている橋本裕之教授(追手門学院大学)から「全国虎舞考」と「大槌の郷土芸能」をお借りし、虎舞や大槌の祭りについての自習時間となりました。東北沿岸部のみでなく全国各地に虎舞があることを知り、新幹線の座席がお隣だった参加者の方と九州の虎舞と東北の虎舞の違いなどについて雑談をしながら、新花巻駅に着きました。新花巻駅から大槌町まではバスの中から、かさ上げ工事で変わりゆく釜石市街地、大槌町の町並みを見ながら移動し、旧大槌町役場の前で手を合わせてから「城山虎舞」の道具が保管されている場所に移動しました。



 そこでは、菊池忠彦城山虎舞会長から「大槌虎舞協議会」で一丸となって、郷土芸能による大槌町の復興を担ってきたことや、最近は山田町とも繋がりつつあることなどを伺いました。
 虎舞の全国交流についての質問もあり、虎舞フェスティバルという釜石でのお祭りはあるそうですが、震災後、全国区での交流はまだないとのお話も伺いました。



 その後、蓬莱島(ひょうたん島)を眺め、陸中弁天虎舞の創始者の岡本大作さんの元居住地で、現在は3階が地域の方々のコミュニティーの場としても活用されているスペースで、城山・向川原・陸中弁天の各虎舞を拝見しました。
 岡本さんは、東日本大震災の津波で被災した蓬莱島(ひょうたん島)の鳥居や社を再建し、奇跡的に島に残った弁財天も修繕して、町の復興の シンボルにしようと「ひょうたん島復興プロジェクト」を立ち上げた方でもあります。


「ひょうたん島復興プロジェクト」ウェブサイト】http://hyoutanbenten.web.fc2.com/index.html



 息遣いも伝わる至近距離で虎舞を拝見することは初めてで、虎の隙間から見える表情からつま先の動きにまで感動し思わず見とれてしまいました。素直に「カッコイイな!」というのが印象です。
 陸中弁天虎舞では、小学3~4年生の女の子が2名、笛の奏者として参加しており、踊りの後に少しお話を聞くことも出来ました。兄弟や親子で別の虎舞をやっている家庭もあるというお話も、地元の方から伺い、今回は、本当に郷土芸能を間近で見たという思いがしました。
 また別の視点からは、この前夜祭を有意義な会としていただくために、陰の立役者の方々もご紹介しておかなくてはなりません。おもてなしの準備を前日の朝からしてくださいました地元の奥様方に対しては、本当に頭が下がる思いがしました。地域を支える方々の力があってこそのお祭りなのだということも、改めて実感しました。



 


「奈奈子祭」とは?


 翌日21日は、「奈奈子祭」の本番です。「奈奈子祭」は、2013年NHKの番組で、被災した住民を郷土芸能で呼び戻すことができないかという話合いの中から、誕生したお祭りだそうです。


【詳細はこちらをご覧下さい。 >>> JTB発行「元気になろう 日本」PDFファイル(1.3MB)


 釜石市箱崎町白浜の鵜鳥神楽のお宿を務めていた笹山ご夫妻の発案により、被災した地域社会の祭りを通しての再生を皆でやろうというところから始まったそうです。
 地域から発信された発案に、岩手県文化財保護審議会委員を務めていた橋本教授が自身のネットワークを駆使して、ユネスコ無形文化遺産となっている岳神楽などを呼び、郷土芸能が好きな方や、他地域から見に来られる方々も幅広く楽しめるコンセプトとなっています。
 今年は、大船渡市の「チンドン寺町一座」が入口で呼び込みを行い、舞台では、「寺町一座」と「長安
太鼓」のコラボレーションで始まりました。



 続いて、「神ノ沢鹿踊」、「陸中弁天虎舞」と続いた後、昼食をはさんで、「鵜鳥神楽」、「南部藩壽松院年行司支配太神楽」、「岳神楽」と神楽の演目が続いて、子供達の「雁舞道七福神」で熱気に包まれた祭舞台は、終了となりました。200名近い鑑賞者と各団体10名以上の出演があり、総勢300人くらいの華やかな会となりました。
 神楽の合間には、お隣に座った地元の方と世間話をしながら、楽しく鑑賞することが出来ました。



 


これからの持続と仕組づくりに向けてエール


 『奈奈子祭』シリーズは、今回で4度目の開催となりますが、「ツアーのコンセプトと持続性」について参加者がどのように考えるかというテーマで語り合う機会が今回のツアーの中で度々ありました。
 震災から3年9ヶ月が経過し祭のための道具が修復され、これからは発表の場をつくり、地域からの創造力を外に向けて発信していく時期が来ているということを、実体験を通じて感じました。
 一緒に語り合った旅の仲間からは「若い世代の活用」について、「中間支援組織の関わり方」について等の意見が出ており、仕組みづくりの意見として、大変参考になりました。
 そして、まずは地域の中で同じ方向を見ている人々(行政や次世代含む)の協力者を沢山つくっていくことが必要になると感じました。
 1組の夫婦の求心力から始まった、このアットホームなお祭りが、岩手県沿岸部からの郷土芸能での地域の町興しとして、うねりとなっていくことを期待しています。

イベント概要
イベント名 奈奈子祭 ~花の陣~
開催期間 2014年12月21日(日)
午前11時~午後3時
エリア 東北エリア(岩手県)
開催地 岩手県
会場 三陸花ホテルはまぎく (〒028-1101 岩手県大槌町浪板海岸tel. 0193-44-2111)
料金 無料
入場無料
当日は浪板地区仮設住宅巡回バスを運行します。
問合せ先 jabowa@nifty.com 担当・橋本裕之
主催 奈奈子祭実行委員会
後援 大槌町教育委員会 | 大槌町郷土芸能保存団体連合会 | 大船渡市郷土芸能協会
協力 三陸花ホテルはまぎく | 追手門学院大学地域文化創造機構 | 大阪市立大学都市研究プラザ | (公社)全日本郷土芸能協会 | ふるさと岩手の芸能とくらし研究会 | (一社)震災リゲイン | 文化芸術による復興コンソーシアム | issue+design | (公財)鼓童文化財団 | メリルリンチ日本証券(株) | (株)JTBコーポレートセールス | 岩手県交通(株) | 遠野まごころネット

おすすめのイベント

おすすめのイベントレポート