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レポート
東日本大震災復興支援プロジェクト  「歌の絆 より強く!in大船渡」~栗友会と辻ファミリーがやってくる~

イベントレポート
「歌の絆 より強く!in大船渡」実行委員会事務局長 千葉 賀子

1 大震災の文化的被害


 あの3月11日、私は陸前高田市立気仙中学校の体育館で、卒業式の歌の指導を行っていた。突然、大きな地震。生徒と共に高台に逃れた。津波にのまれていく高田の街…。海から50mの学校は3階まで襲われ何も残っていない。この震災で、大船渡市、陸前高田市は大きな被害を受け、高校以来の友人である合唱指導者Rさんをはじめ他の合唱団の団員も流され、当地区の音楽活動にも大きな打撃を与えた。



 


2 イベント開催に向けて


 昨年の6月、辻家が主催する「歌おう!共に!in岩手!」に参加し、楽しく充実した一日を過ごし、このイベントを、ぜひ大船渡市でやりたいと強く思うようになった。岩手県合唱連盟のお世話で、辻家のなかにしあかね先生を紹介され、翌年の11月1・2日に大船渡市で実施することが固まった。会場予約をするために出向いたところ、偶然にもコール・MIZ(合唱団)の高橋美都先生が栗山文昭先生と栗友会の演奏会を同じ日に予約をしようと来ていたので驚き、あかね先生に相談した結果、辻家と栗友会と一緒に大船渡市民会館(リアスホール)で11月1・2日の2日間合唱講習会と演奏会を実施することとなった。


 


3 私たちの取り組み


 大船渡さんご合唱団とコール・MIZの二つの合唱団で実行委員会を立ち上げ、栗友会と辻家と連絡を取りながら準備を進めた。それぞれの合唱団から、総務・広報・会場・ボランティア・おもてなしの係の係長や係員を決め、心からのおもてなしができるよう努力を傾けた。開催趣旨は被災地の合唱文化の復興と発展をねらいとした。


 合唱講習会のチラシを作り、県内外の合唱団に呼びかけたところ、県内外から38団体延べ600名を超える参加をいただき、演奏会入場者も500名を超える盛会ぶりであった。



 


4 イベントのスケジュールと合唱講習会について




 


5 各コースの講習会の様子や発表について


【ア・カペラコース】
 辻裕久先生の緻密な指導のもと、時間を追うごとに見事に上達していく美しい響き。男声の柔らかく響く声に繊細な女声の声がのり、「あなたは風」の演奏は圧巻でした。


【女声合唱コース】
 栗山文昭先生の皆さんを包み込む熱のこもった合唱づくり。曲にまつわるお話を紹介しながら豊かな表情に変えてゆく指導力。聴く人の心を動かす演奏でした。



【混声合唱コース】
 ユーモアたっぷりの辻秀幸先生のお話や指導に皆さん(特におば様)が引き込まれていきました。参加した気仙中の生徒まで笑いが止まらなくなった場面も。「空~ぼくらの第2章~」(大震災で被災した気仙中の生徒のために作られた曲)は、感動的で会場内では目頭を押さえる人も多く見られた。



【独唱コース】
 佐竹由美先生からたっぷりと個人レッスン受けた3名は大満足。
 素晴らしい指導者のもと、わずか2日間の講習で、ハイレベルな演奏が体験できたことは、私たちの心に残る大きな財産となり、今後の合唱活動の目標となった。


 


6 絆を強める交流会


 1日目の講習会が終了した後、交流会を実施した。会費はワンコインの500円。


 参加者は200名を超えた。辻家の秀幸先生・裕久先生の絶妙な猫の二重唱の出し物で大爆笑。彩や栗友会の合唱に聴きほれ、最後は、当地方で祝いの席で踊る「さくら音頭」を全員が二回も踊る盛り上がりをみせ、歌の絆を大いに深めることができた交流会であった。手作り折り紙名札のゆるキャラ「おおふなトン」も大好評であった。



 


7 心に残る辻家と栗友会の演奏



 辻ファミリーによる素敵な歌声、サービス満点の楽しい演奏、「おおふなトン」の名札をつけ、サンマも飛び出す秀幸先生と由美先生の二重唱には会場から笑いと拍手。女声合唱団「彩」の演奏は踊りを取り入れた表現豊かな「沖縄のスケッチ」。そして、7年ぶりに教え子との再会。気仙中の教え子の永田百合香さんが千葉大に入学し、今、栗友会合唱団に入り栗山先生にご指導をいただいている。彼女の司会による栗友会合唱団の若さあふれる素晴らしい合唱。「生きる」を聞きながら、今生きていることに感謝をし、亡くなられた方々の思いを胸に精一杯これからも生きていこうと背中を押してもらった。このような贅沢な講習会・演奏会は二度とできないことだろう。1年かけて力を合わせて取り組んだことが、報われた2日間だったと言葉では言い尽くせない幸せと感謝の気持ちで一杯です。



8 参加者の感想


(1)埼玉県から参加の女性
 こんな、辻ファミリーと栗友会が一緒になった贅沢な講習会はあり得ないことで、合唱好きな者にとって、この上ない喜びで、参加できた幸せを感じています。もうこのようなイベントに二度と参加できないことでしょう。そして、私の想像していた以上の人たちが集まり、大成功に終わったと感じています。もちろん、復興支援にも大いに関わることができたものと思っています。(感想の一部を掲載)


(2)長野県から参加の男性
 このプロジェクトの中で、同じ心を持った合唱団の方々と交流する場ができ、多くの方と交友できたことは、正に「歌の絆より強く」の目的が達成され、これからの基盤ができたと思っています。時間が経つほど、3.11は忘れられる方向にありますが、我々はまだ復興半ばの地域もたくさんあることを心に留めて歌い、また現地を訪問し、地域振興に協力しなければならないと思いました。今回は、著名な先生の方々、有名な合唱団が主導して頂きましたが、今後も何らかの形で、各地の心ある合唱団のレベルでも「歌の絆」を深めていく活動も必要だと思いました。(感想の一部を掲載)

イベント概要
イベント名 東日本大震災復興支援プロジェクト『歌の絆 より強く!in大船渡』~栗友会と辻ファミリーがやってくる~
開催期間 2014年11月01日(土)~2014年11月02日(日)
【演奏会】2日(日) 14:00開演(13:30開場)
エリア 東北エリア(岩手県)
開催地 岩手県
会場 大船渡市民文化会館リアスホール
料金 無料
講習会・演奏会ともに参加無料
※演奏会の入場には整理券が必要です。
問合せ先 「歌の絆 より強く! in 大船渡」実行委員会 事務局 〒022-0002 大船渡市大船渡町字上山10-21 【TEL】0192-27-2269/090-7075-1775
主催 「歌の絆 より強く! in 大船渡」実行委員会 (委員長 甘竹秀雄)
共催 栗山文昭・栗友会 / 歌おう!共に!実行委員会(辻秀幸・佐竹由美・辻志朗・辻悦子・辻裕久・なかにしあかね)
後援 岩手県教育委員会、大船渡市教育委員会、陸前高田市教育委員会、住田町教育委員会、岩手県芸術文化協会、気仙地区芸術文化協会連絡協議会、大船渡市芸術文化協会、岩手県合唱連盟、東海新報社、岩手日報社、めんこいテレビ、NHK盛岡放送局、(株)アマタケ

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