レポート
三陸国際芸術祭 「三陸・韓国・インドネシア、郷土芸能の競演」に行ってきました。
8月16日(土)から24日(日)にかけて、三陸の沿岸部各所を会場に開催された『三陸国際芸術祭2014』に行ってきました。
三陸国際芸術祭は、郷土芸能の宝庫である東北沿岸部・三陸地域の魅力を、日本全国そして世界に発信し、芸術文化による国際交流の柱として、郷土芸能を位置づけ、三陸地域沿岸部(東日本大震災/津波の甚大な被害があった地域)の野外で開催し、国内外の人々が震災を考え続けるきっかけになることを目的とした芸術祭です。 海外、特に東アジアを中心に芸能を招聘し、東北地方の芸能と海外の芸能が交流し、また互いに刺激し合う場とすると同時に、東北の郷土芸能の団体同士、および地域間の交流が生まれる場を創出する他、主催のNPO法人ジャパン・コンテンポラリーダンス・ネットワーク(JCDN)がこれまで行ってきたプロジェクト『習いに行くぜ!東北へ!!』をフェスティバルの開催と並行して行い、全国および海外から東北の芸能や文化を体験する機会を設け、後継者や新たな観光、雇用が生まれることを目指し、将来、郷土芸能の魅力に多くの人が触れ、そこから新しい芸術や文化が生まれることを目指しています。
私が訪れた8月23日は、大船渡の碁石海岸キャンプ場を会場に、三陸・韓国・インドネシアといった各地の郷土芸能の競演やコンテンポラリーダンスなど、次々とプログラムが開催されました。 最初に拝見したのは、「時の輪」-Passing through our body というコミュニティダンスのパフォーマンスです。
コミュニティダンスは、子どもから高齢者まで、ダンス経験の有無・性別・障がいに関わらず、「誰でもがダンスを創り、踊ることができる」という考えのもと、アーテストが関わり、地域の方々と共に創るダンスで、参加者一人ひとりから出てきた動きをダンスにするもの。この作品は、昨年秋にダンスアーテスト(マニシア)が大船渡に1ゕ月滞在し、この地方の方々や文化、郷土芸能に触れ、三陸の皆さんとワークショップ重ねて生まれたダンスです。 住民目線となってダンス制作して、共に踊り、自然の中でダンスを通して人と人の繋がりがうまく表現されていました。ダンスを社会包摂プログラムとして取り組んだ、コミュニティダンスのコンセプトがしっかりと伝わってきます。 次に訪れた「碁石海岸虎舞競演会」は三陸沿岸部北から南に個性豊かに分布する郷土芸能「虎舞」が一堂に会するイベントです。陽気な調べの横笛、パワフルで小気味よい太鼓とかけ声とあわせ、勇壮に舞い踊る「虎舞」。その姿はまさに東北沿岸部に生きる人々を表すかのようです。碁石の荒々しい自然を背景に繰り広げられる一大スペクタクルです。 虎舞を演じた若者にインタビューをすると、「全国の皆さんのおかげで生きることができた。感謝の思いでいっぱいです。これからが勝負、虎舞を継承しながら元気な姿を全国に発信しいきたい。声がかかれば全国どこにでも行って披露したい」と力強く話してくれました。被災地の復興は郷土芸能が被災された方々の大きな精神的支えになっており、多くの大切なものを失った被災地においては、経済的な支援が必要ですが、人々が人間らしく生き、地域のまつりや伝統芸能を通じて誇りを取り戻すことが、地域コミュニティの復興につながっていると痛感しました。 その後、行われたのはサイトスペシフィックダンス『生命の森 ―足あとから風景になる』というパフォーマンス。
出演する「気仙沼バレエソサエティ」は1996年、横田香也・高橋知子によって設立された気仙沼唯一のバレエスクール。創立15周年公演目前、東日本大震災により、横田講師は帰らぬ人となりました。スタジオ設備全てが流出、残された高橋講師はこのままスタジオを続けるべきか悩んでいましたが、生徒からの再開を切望する声により、2012年1月、公民館などにて活動を再開しました。「復興は文化や芸術を含めた豊かな環境なくしては成り立たないものだ」と確信した高橋講師は、2013年8月、一念発起、新しいスタジオをゼロから再建したそうです。
震災を乗り越えて、元気に笑顔で踊っている姿にジーンとくるものがありました。
日も暮れ始めた午後6時頃から始まったのは、この日最後のプログラム『三陸・韓国・インドネシア、郷土芸能の競演』です。
韓国農楽、昼の部でパフォーマンスを披露したコミュニティダンス、バリ舞踊・ガムラン、そして金津流市獅子躍大群舞が出演しました。
韓国農楽の打楽器演奏と舞は完成度が高く、特にチャング(両面太鼓)の独奏や頭にリボンを付けた舞は目を見張るものがあり、バリ舞踊とガムランの演奏は、バリ独特の音色とリズムが面白く、バリ舞踊は、特有な指使いと神秘的な舞は楽しめました。
金津流獅子躍大群舞の9団体が一堂に会したのは史上始めてとのこと。東日本大震災への追悼の意が込められ、念ずる謳、力強い太鼓のリズム、一糸乱れぬ舞は全身にビシビシ伝わってきました。神仏に奉納する民俗芸能は異国でも全く違和感がなく、むしろ各国の生活文化を堪能できる企画でした。
イベント名 | ヒューマンセレブレーション 三陸国際芸術祭 2014 |
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開催期間 | 2014年08月16日(土)~2014年08月24日(日) |
エリア | 東北エリア(岩手県) |
開催地 | 岩手県 |
会場 | 三陸の沿岸部各所 ※「公式サイト」をご参照下さい。 |
料金 | 対象無料 |
主催 |
NPO 法人ジャパン・コンテンポラリーダンス・ネットワーク(JCDN) |
共催 |
(公社)全日本郷土芸能協会 みんなのしるし合同会社 |
協力 |
【助成】GBFund(東日本大震災 芸術・文化による復興支援ファンド) 【助成】アート NPO エイド |